日曜日, 10月 30, 2005

雨の下でジャズ

今日は、フラメンコ帰りに<阿佐ヶ谷ジャズストリート>に寄り道(寄り道というより通り道なのですが)。阿佐ヶ谷の街中がジャズ一色になる、年1回の大イベントです。ディキシーの流しなどを聴きつつ歩いたあと、駅前広場ステージでのライヴを1時間立ち見。小雨のぱらつくなか、広場はぎっしりの人。カンザスシティバンドでは特にノリノリでした。上手いなぁ。久しぶりに山下洋輔さんなど聴きたかったけれど、結局チケットは買わず無料ステージのみになってしまいました。(実は、山下さんはコンサートホールでしか聴いたことがないのです。)来年は、もう少し計画的に来ようと思います。

吉祥寺、荻窪、阿佐ヶ谷といったこの中央線沿線の一帯は、文化度の高い注目エリア。ジャズ、クラシックなどのフェスティバル、そしてお祭りなど、それぞれ個性あるイベントを定着させて、非常に成功しているようです。きっとお互いが刺激しあい、いい意味での競争になっているのでしょうね。美味しいものかわいいもの、そしてオリジナルなものもたくさん見つかるこのあたり、結構好きで時々出没しております。

日曜日, 10月 23, 2005

寝だめカンタービレ

今日は、午前11時起床!いつも最低2つはかけておく目覚まし時計も、今日ばかりはなし。外はすっきり爽やかな青空が広がり、まるでスペインでの日曜の朝のようです。その日の予定を何も気にせずに起きられるって幸せ・・・とにかく実に、気持ちがよかった。

近くのAさん宅にホームステイしている友人のホセルイスが、スペイン料理を振舞う、というのでお昼のお誘いをいただき、歩いて5分ほどのお宅へ。大きいお鍋に海老やムール貝の踊るパエリャが、いままさに完成せんとしていました。聞けば、鯛の前菜をつくるのに、細かい骨をひとつひとつ取り除いていくところからなんと4時間を費やしたとか!!その細かさには、Aさんご家族もびっくり。昨夜はご家族が寝静まってからも彼1人、台所で黙々と下準備に没頭していたそうな。意外に思われるかもしれませんが、スペイン人男性ってほんと、マメで真面目な人が多いんですよ。

ワインとともに美味しくお料理をいただき、ケーキとコーヒーまでご馳走になりご機嫌になった私、そのままご主人に駅まで車で送っていただきました。参宮橋で打ち合わせの後、国立オリンピック記念青少年総合センターのホールで行われた、日本モーツァルトコアーによるモーツァルト<レクイエム>演奏会を聴かせていただきました。今回と同じく茂木一衛先生指揮で、万霊節にはウィーンのシュテファン大聖堂で公演をなさるそうです。音楽の流れを損なわない適度なお話もちょうどよく、生と死を思いながら全曲を聴き終わったときには、濃い音楽を味わったという充実感と、こころよいカタルシスを感じていました。

よく寝て、よく食べ、そして音楽にひたる・・・極楽そのものですね。ありがたいという気持ちを、ピアノ演奏を介して、少しでもお返ししていきたいなぁと思いました。<それにしても「ねだめカンタービレ」なんて、もうゼッタイどこかで使われてるって・・・>

木曜日, 10月 20, 2005

和の世界へ

昨日は、カナダと日本の友好を願うある国際交流クラブの例会にお邪魔しました。1人での初参加でしたが、40名ほどのアットホームな雰囲気だったため、開会ほどなくいろいろな方々と知り合い、お話しをすることができました。カナダ産ワインもほどよく入ったところで、カラー&イメージコンサルタント、占星家としてご活躍の酒井尚子さんのトークがあり、さらに盛り上がったのでした。

酒井さんのお名前は存じ上げていましたが、お会いするのは初めて。淡くて明るい色のお着物をさりげなく着こなしていらっしゃって、とても素敵でした。テーマは「運のいい人、悪い人」。運は人を介してやってくる、というのはとても納得のいくお話。自分の運がいいなというときは、周りの人にもおすそ分けしてあげることが大事、というのにも、とてもうなずいてしまいました。思えば私も、これまで多くの人に助けられ、運をいただいてきたのだと思います。みなさんどうもありがとう!という気持ちになり、とてもパワーをいただいて、晴れやかな気分で会場をあとにしたのでした。

今日は朝から、着つけのお教室へ。昨日も酒井さんを含め何人かお着物の方がいらっしゃり、いつか私も自分で着られるようになるぞ!という気持ちがまたあらたになりました。私もこれまで西洋にのみウツツを抜かしてきたわけではなく、奥深い日本の文化は愛してやまないのですが、実践となると・・・“浴衣”にすら数回しか袖を通したことがない(しかも人任せ)、という状態。それがとても不自然かつ居心地悪くなってきた、今日このごろなのでした。
故郷の桐生はかつて「機の町」として栄え、最盛期には町の人々は1日に数回衣装替えをしていたほどだそうです。そんなことも意識し始めたということなのでしょうか。昨年の仕事でご一緒したフジTVアナウンサー・阿部知代さんも同郷、さすがにしゃきっと粋にお着物を着ていらっしゃいましたが、やはりご自分で、さっと着られるとのこと。かっこいい~!と思いました。長く奥深い道のりだと思いますが、楽しんで身につけられたらと思っています。

日曜日, 10月 16, 2005

Dreams shouldn't come true (sometimes...)

今朝は、極度の疲労と安堵が混じりあった目覚めでした。演奏家や音楽学生ならきっと誰でも見たことのある夢、そう、「本番演奏会に間に合わない!」というやつを見てしまったのです。

私はもともとリアルな夢を見るほうで(カラーかモノクロかなどという次元ではないのです)、目覚めてもしばらく現実と夢の区別がつかないこともしばしば。最近は回数がぐっと減りましたが(これは実際は夢を見ていても単に覚えていないということなんですよね)、高校時代には、毎日のように宇宙規模のSFスペクタルな夢ばかり見ていた時期があり、夢日記で一冊の本が書けるんじゃないかと思ったほどです。でも「夢を記すとそれが現実になる」と誰かから聞いたので、恐ろしくて結局やめました。

さて今日の夢は、「室内楽の演奏会本番の日」という設定。3時から会場リハなのに、目が覚めたのがなんと3時!ドレスも靴もなんにも用意していなかったためとにかく必要なものを大きなバッグに詰め込みながら、頭の中では「どうしよう!」がグルグル。演奏曲の楽譜を手に取ったとき「これ、ほとんど練習してない・・・」ということに気づき、血の気が引いていきます。とにかく1秒でも早く会場に着かなくては、と、寝ぼけ顔のまま出発。

なのにどうしても、体がうまく前に進まない。駅までの道も間違える・・・そのうち一人の女の人に呼び止められ、あろうことか一目惚れされたらしく(!)しつこく追いかけられ、なんとか振り切ります。(その人から渡された名刺の名前も覚えてます!)どうにかこうにか見知らぬ駅に着いたときには、すでに4時半。そして上野行きという特急が、今まさにホームから出て行くところでした。「あぁぁ~!行っちゃった!次の電車は!?」表示板を見てそのホームに降りたのに、そこに待っていたのは逆方向へ行く電車。これでは本番にも間に合わない!!と頭が白~くなったところで、ゆるゆると目が覚めました。

演奏会本番で、もう舞台の袖にスタンバイしているのに、弾く曲をまったく練習していないとか、「私、これから何を弾くんだっけ!」とかいうのもよくある夢。面白いことにこの種の夢って、演奏会の予定が少し空いて、リラックスしているはずのときに見るんです(少なくとも私の場合)。夢を見ているとき、からだの中では何がおきているんでしょうね。悪夢の場合、大体は危機一髪で目覚めますけど、筋肉が硬くなっていたり喉がカラカラだったり、心臓の動悸がものすごかったり・・・。やっぱり、脳の活動が身体の状態を操っているということなのかな。先日もフルマラソンを走った夢を見て、起きたら両足の筋肉が棒のようにぐったりしていたし。夢って、不思議な世界ですね。

日曜日, 10月 09, 2005

秋祭りの季節、開幕


ス ペインでは、土・日の朝といえばゆっくり寝ていられるのが楽しみだったのですが、ここではそんな生活、夢の また夢でございます。もともと週末や祝日に演奏会の本番が入ることが多いし、理事会やら弾き合いやらといった会合関係も大体日曜日だから、とにかく朝から 夜までフル回転するしかない。そうはいっても大丈夫、合い間合い間にちゃんと楽しんでおります。

例えば今日は、お隣K市の「市民祭り」へ お邪魔し、国際交流会のテントへ。市民でもないのにしっかり売り子となって、数時間お手伝いさせていただきました。前にフリーマーケットをやったときにも 思ったけれど、お店をするって楽しいですね。私の場合、太っ腹にまけてあげちゃうところが玉にキズかもしれませんが・・・。

こ のへんは結 構畑が多く、そこここに無人の野菜スタンドがあります。そう、置いてある缶に100円を入れて、勝手に持っていくやつ。これには、スペイン人の友人皆「あ り得ない~」と言って驚きます。(あちらじゃなりたたない、というんですね、野菜もお金も盗まれちゃうだろうから。)そんなわけでこういうお祭りでは大 概、おいしい野菜の直売があるのも嬉しいのです。なにしろ、スーパーの野菜とは味が全然違いますよね。土の香り、濃い味がぎゅっとつまってる感じ。今回 は、葉っぱが完全にわさわさっとついたままの、大きな大根をゲット。畑を持つのが夢の私ですが、東京でも結構、それ叶えることができるんじゃないかしら? と思えてきました。

一旦家に戻り練習したあと、夜は打ち合わせのため荻窪へ。今日も長い一日でした。

土曜日, 10月 08, 2005

静かに熱狂、太極拳

今日・明日は、太極拳全国交流大会が開催されています。フラメンコクラスでみっちり2時間、おもにファンダンゴを踊ったあと、いそいで原宿の国立代々木競技場・第一体育館へ。入ったのはすでに参加者(グループの部)の表演も終わり間近でした。300人以上がいっせいに演じるというグループもあって、びっくり。内容も使われている音楽もヴァリエーションがあって、楽しめました。

一日目を終えたところでの表彰では、中国から審査にいらしていた先生のほか、元総理の羽田孜さんも賞を授与。羽田さんはこの大会の会長だそうです。そうそう、参加なさった方々のなかには94歳、93歳をはじめとして80歳以上の方が何人もいらっしゃいました。年齢に関係なくやれるところが太極拳の素晴らしいところですね。最後に全員で簡化24式を、というときには私も下に降りて、一緒にやりました。気持ちよかった!1回通せば、冷え性の私も手先まで血が通います。なんでも、太極拳をやると、身体にあるチャクラが全部活性化するそうです。

さて私の目あては、最後に行われる中国の老師たちの表演でした。かなり予定時間より遅れて始まった表演では、ひとりずつ中国の老師(先生)がそれぞれ違ったものを演じられ、とても見ごたえがありました。奥が深い世界、ほんの入り口にいる自分ですが、とりあえず、始まったばかりの扇(太極扇-たいきょくせん-というそうです)を早く覚えたい!と燃える気分で体育館をあとにしました。

原宿にいるついでに久しぶりに寄った表参道の回転寿司屋さんで、お皿をタワーのように積み上げたのち、いい気分で帰路に着いたのでした。

日曜日, 10月 02, 2005

ほろ酔いコンサート

かん芸館に着き、上を見上げると、大きな窓から白黒の素敵な写真が見えました。それは音楽家を撮ることでは世界的なカメラマン、林喜代種さんのお撮りになったもの。この「かん芸館」には素敵なギャラリーもあり、数日前まで彼の写真展が行われていたのですが、今回のコンサートのためにそのまま展示してくださっていたのでした。ご配慮に感謝です。

5時半ごろまでいろいろと準備をしてから、音出しリハーサル。ピアノの周りでは、林さんと、ボックリ博士の中村さんのお二人がカメラのシャッターを切り続け、途中でいらした日本画家の福田さんはそのわきでデッサンなさっている、という不思議な光景が。ぎりぎり6時15分までリハーサルしてから控え室に駆け込み、バナナ!チョコレート!蜂蜜レモンのドリンク・・・とたて続けにいただいてエネルギー補給しました。

この日は満員御礼。初めて私の演奏会に足をお運びくださったお客様、またクラシックのコンサート自体が初めて、といった方もいらっしゃり、新鮮な気持ちでした。このシリーズも2回目なので、トークも少しなめらかになったかな?・・・ロドリーゴのピアノ曲はほとんどの方が初めてだったことと思いますが、お話しながらだったこともあって、あまり構えずに聴いていただけたようです。でもちょっとお話しすぎたのか、前半終わったところですでに、開演から1時間が経っていました(予測はしてましたが)。

休憩では、スペインの夏にはかかせない「サングリア」のサービス。赤ワインをベースにフルーツも入った、少し甘めのアルコールドリンクです。こちらも前回の「ポルボロン」に続いて、スペイン出張料理<アル・アリモン>さんのお手製。美味しい!と大好評でした。私もつい、誘惑に負けてふた口、み口・・といただきながら、お客様に混じって少しおしゃべリ。「味見」のつもりでしたが、結構顔が赤くなって・・・

後半、ちょっとだけほろ酔いで開始。お客様も、ちょっとお酒が入ったことでよりリラックスなさっています。サロンでのコンサートは、「お客様との距離が近い」ということがプラスに働いたとき----気のキャッチボールを実感したときとか----、なんとも気持ちがいいですね。そうでないと、「大きいホールでの演奏会のほうが楽だ」と思ってしまったりする。不思議なものです。アンコールには、ショパンのノクターン遺作。このプレイエルはやはり、ショパンを弾いたとき本当に嬉しそうに鳴ります。ということでこのシリーズでは、アンコールにいつもショパンを弾くことにしています。
次回は12月22日(木)。プログラムはグラナドスのスペイン舞曲集、スペインワインとチーズとともに皆さまをお待ちしています!

禁断?の「舞台裏」

かん芸館での「スペイン音楽シリーズ」第2回のこの日。リハーサルが5時からと遅めなので、朝の太極拳の練習にはちゃんと出ることに。しかも、今日から「扇」にも入るんですもの、休むなんてもったいない!

1時間の気功・24式のあと、場所を室内に移して扇の練習開始。室内に移るのは、扇を開閉するときの音でご近所に迷惑をかけないためです。10数人がいっせいにバッ!とやると、かなり迫力ある音がするのです。ピアノ弾きのクセに手先が結構不器用だったりする私(フラメンコのパリージョ<*カスタネットのこと>だって、右手がうまくできなくてめげてるんです)、ちょっと不安がありましたが、この日やった3種類の開き方はとりあえずクリアー。これからの練習が楽しみです。

なんて、ずいぶんのん気そうですが、実は戦争のような一日。練習から戻り、まずは今日のプログラム作りにとりかかります。といっても、曲目を原語と日本語で記しただけの簡単なものですが、一からやっていたら意外に時間もかかります。なぜ前もってやっておかないのか!?とお叱りがきそうですが、それはほぼ不可能なのです。毎日、一番目の前にあることから処理していくと、最低限の睡眠時間を確保するためにはどうしても何がしかの仕事を次の日に回すことになるのですが、例えばこの前日は、締め切り日の夜が明けてしまわないうちに原稿を送るべく、12時半過ぎてもまだパソコンに向かっていたわけで・・・

さてとりあえず人数分のプリントが終わって、入浴。パソコンに向かっていると、腕の筋肉が冷えたり固まったりしてしまうことがあり、これは楽器を弾くにはよくありません。そんなときは、この期に及んで練習などするよりも体を温めることが一番。そうそう、だから温泉地での演奏会というのは、とってもいいんですよ。そういう場所では私は必ず、本番の前に温泉に入ります。すると身体もぽかぽか、気分もリラックスして演奏に向かえるのです。夏用ではない入浴剤を探して、湯船にポン。時間が気にならないといったら嘘になりますが、とりあえず芯が温まるまでは待たなくてはなりません。そのあいだ頭の中では、今日の演奏曲の暗譜確認。これで、身体のほうはリセット完了です。

ピアノの前に座りちょっと指ならしをして、楽譜をコピーをするため急いで外出。コンサート当日に、長い道のりを何冊もの厚い楽譜を持っていくのは体に負担がかかってしまいます。というわけで、薄い楽譜以外はコピーをして、会場に持って行くことが多くなりました。ついでに本番には欠かせない、エネルギーの素・バナナも購入。

お昼ごはんもそこそこに、前の日の夜に用意して並べておいた荷物をまとめていざ出陣、ヘアサロンへ向かいます。ここのところずっとお願いしている美容師さんは穏やかなタイプで、お話していても気持ちの落ち着きを保つことができます。予定時間ぴったりに終了し、会場へ。荻窪の駅から、「背中のリュックがちょっと重いナァ~」などと思いながらてくてく歩いていますと、ふと目の前に写真家の林喜代種さんの姿が。そのまま、一緒にかん芸館へと向かいました・・・(以下、part2へ)