木曜日, 6月 29, 2006

誕生日つれづれ

あれよあれよと時が過ぎ・・・この日記もご無沙汰してしまいました。

誕生日だった17日は朝からフル回転で、寄るつもりだったアートカフェでの深町純さんピアノパーティーにも行けずじまい。私が現れるかもと思ってくださってた方、ゴメンナサイ。
最後にちょこっと寄った外国人記者クラブのバーでは、その日のライヴに出演していたホルヘに思いがけず歌でお祝いしてもらい、なんとケーキまで登場して感激!他のお客さんたちに拍手されながらろうそくをふき消し・・・こういうサプライズってとても嬉しいですね。誕生日って、またひとつ年をとった!(=余生がまた短くなった)と実感させられるから別に祝うものでもない、という声も聞きますけど、そして私自身もそんな風に思ったこともありますが、この世に生を受けたということはもうそれだけで奇跡のように素晴らしい巡り合わせであって、それを忘れてはいけないな、「誕生日」というのはそのことに感謝することを思い出させてくれる日なんだなと、今年は強く思ったのでした。“生かされている”というのは本当に有難いこと。皆さん本当に、ありがとうございます。

さてバーの壁にかかったスクリーンでは、この日は英国・エリザベス女王の“公式”誕生日ということで、大々的なセレモニーの様子が延々と生中継されていました。(イギリスの君主は、誕生日が年に2回あるんですね~。)それにしても・・・こういう世界を見てるといろいろ考えさせられます。階級って一体なんだろう、とか。よく聞く“セレブ”の世界などには、まったく憧れないし(むしろ違和感)。私の思考のベクトルはそちらには向かず、むしろ、とりあえずそれなりに安穏と生きられている自分に対する罪の意識のようなものから、どうしても逃れられない。前世にでも何かあるんでしょうか。

話は変わり ――― というか、自分のなかでは関連あるのですが ――― ただ今、関口夏央&谷口ジローコンビの力作<坊っちゃんの時代>第3部・啄木日録『かの蒼空に』を翻訳中。菅野須賀子、平塚明子(らいてう)などの「新しい女」たちが登場し、彼女たちの言葉を咀嚼し訳していきながら、その生き様に思いを馳せ、リアルな<明治>を感じています。【<坊っちゃんの時代>~凛冽たり近代 ・なお生彩あり明治人~全5巻:第1部「坊っちゃんの時代」(featuring夏目漱石)第2部「秋の舞姫」(森鴎外)第3部「かの蒼空に」(石川啄木)第4部「明治流星雨」(大逆事件)第5部「不機嫌亭漱石」(夏目漱石の死)。双葉社より。おすすめです!】
この仕事を通して、これまで私の歴史観からなぜか抜け落ちていた(学校での歴史教育にその原因の一端があるでせう)明治という時代に、とても興味を覚えている今日このごろです。

火曜日, 6月 20, 2006

メキシコに思う

ちょっと前のことになりますが、<メキシコの子供たちのためのチャリティートーク&ライブ>に行ってきました。場所は、築地のキューバン・カフェ。
第1部は、メキシコシティの路上で生きるストリートチルドレンの現実を取材したビデオ上映と、ラテンアメリカに造詣の深いジャーナリストによるトークでした。メキシコには行ったことはありませんが、音大卒業後メキシコシティに行き、そこで子供たちに音楽を教えながら活動していた友人が、「あまりにも大きな貧富の差にショックを受けた」と言っていたのが、とても印象に残っています。そしてそれは、今も変わっていないようです。

取材ビデオでは、路上で暮らす1人の幼い少年にスポットを当てていたのですが、8年後の彼の生活も相変わらず・・・いや、ドラッグなどの問題もありさらに深刻化しているようでした。追跡取材を通じて彼やその仲間と交流を持ち、この日トークで出演していた女性ジャーナリストの方が、「食べ物や生活物資を与えるというだけのよくある慈善事業は、ともすると彼らがこのまま“ストリートで生活していける”環境をつくる手助けのようになってしまう」とおっしゃり、まさにその通りだと思いました。

そういえば先日、ボリビアのモラレス大統領(ボリビア史上初めての先住民出身の大統領。キューバのカストロ議長やベネスエラのチャべス大統領と親しいといわれている)が、ストリートチルドレン23人を官邸に招待してサッカー観戦を一緒に楽しんだというニュースがありましたよね。「夢のゴールドチケットを手にした子供たち」なんていう記事もありましたが、私は読んだ瞬間に何かひっかかりを感じたものです。つかの間いい思いをさせて、またストリートに戻すのは逆に罪ではないだろうか?・・・与えるだけではなく、そのような環境に生きる子供たちが増え続ける社会構造そのものを改善していくことが大事ではないだろうか?モラレス氏が今後、どのような政策を打ち出していくのかによるとは思うけれど、とても気になってしまったニュースではありました。

さて第2部は、メキシコの音楽と踊り。スペインで時々飲んだ、なつかしの「クバリブレ」(「自由なるキューバ」という意味。ラムをコーラで割り、ライムを搾ったカクテル)を片手に、メキシコを歌い続けるベテラン、サム・モレーノさんのギターと唄、16歳の新進アルパ奏者・今村夏海さんのフレッシュな演奏、そしてルミータ&フェルナンド風間さんによる踊りを楽しみました。今村さんは、パラグアイ・メキシコなど中南米各国のアルパを弾きこなす期待のアルパ奏者。これからが楽しみです!

火曜日, 6月 06, 2006

温泉三昧


杜の都・仙台に行ってきました。東京はあまりぱっとしない天気が続いていましたが、仙台は抜けるような青い空が広がり、緑が映えてとても気持ちがよかったです。

その日は作並温泉、元湯となっている老舗旅館で一泊。夕食前、就寝前、そして早朝とお風呂に入ったのですが、なんとどのときも私ひとり!とくに朝6時ごろ行った、せせらぎのわきにある露天風呂を独占していた時間は幸せでした。この岩風呂へは、木でできた階段を90段下がっていくのですが、この木の香りがまたいいのですね。澄んだ空気のなか、鳥の声と川の水音を聴きながらお湯に浸かり、感動のあまりついつい独り言。時間が経ってもなかなか離れがたく、やっとあがったときにはちょっとのぼせてしまっていたようです。上へ戻る階段の途中で水を飲み、温泉の由来など読みながら一休み。
朝食がまた美味しくて・・・朝から名物の牛肉もふくめてお皿いっぱいの和食のあと、焼きたてパンとケーキまでしっかりいただきました。これには同席の方々もびっくり。(でも、私は朝からステーキだって大丈夫なんです~)8時過ぎに旅館を出発、9時半前の仙台発新幹線で東京に戻りました。

「はやて」で仙台を出たら、次はもう大宮。ちょっと寝てしまうとあっという間に東京に到着します。近づくにつれ、あんなに青かった空は白っぽい灰色に・・・視界から緑も消えて、街はモノトーンとなりました。「あぁ・・・また戻ってしまったなぁ」と思いながら、上野で降りるためドア付近に立っていると・・・隣のグリーン車からあの“ハマコー”さんが眠そうに歩いてきて「なんだ、まだ着いてないじゃないか」。テレビでよく拝見していたためまるで知っているような感覚になっていたのと(私の1m先に立っていらっしゃいました)、ご本人があまりに人懐こい雰囲気をされていたので、「あっハマコーさん、おはようございます」と普通に話しかけそうになりましたが、周りの皆さんもあえて知らぬ素振りをしているし、そこは私もならってそのまま下車・・・

経由した池袋で偶然見つけたA.デ・ラローチャのモーツァルト:ピアノソナタ全曲CDセットを購入し、お昼を食べてから帰宅しました。
(写真は、作並の駅ホーム。無人駅でした。いろいろな鳥の声が素晴らしい音楽を奏でていました。)