9月11日。あのあまりにも衝撃的な、明らかに世界の歴史を変えたテロ事件の起きた日から、もう5年が経ちました。この日、迫っている演奏会のための練習に追われているはずでしたが、筑紫哲也さんと安住アナが案内役のTV番組「NYテロ 5年目の真実」から目が離せず、最後まで見てしまいました。番組では、その場に居合わせた人や被害者の方の遺族などからの証言をまじえながら、あの日起きたことをドラマ仕立てで再現。あらためて、この事件のたとえようもない悲惨さを、そしてその裏にくすぶるイスラム社会の不満、憤り、怒りを思いました。いまや唯一の超大国となり、“世界警察”を自認するアメリカ。戦後、常にアメリカとの関係でものごとを計ってきた日本・・・アフガニスタンでイラクでなにが起きたのか、レバノンでパレスチナでなにが起きているのか、今こそ“われわれの眼”でよく見きわめる必要を感じています。
最近出された著書<我々はどこに行くのか>*今月のおすすめ本*のなかで、作者の川良浩和さん(元・NHKエグゼクティヴプロデューサー)は「歴史は決して理屈で動いているのではなく、感情で動いているように思える」と書いていらっしゃいます。世論が政治を動かし、そこにジャーナリズムが介在しているのを忘れるわけにはいかない、とも。ジャーナリズムが世論をある方向に導くのは、少なくともそのきっかけを与えるのは、いとも簡単なことのように思います。(だからこそ、政治家たちはメディア戦術に力を入れているのでしょう。)救われるのは、情報の出し方はまだかたよっているにしても、日本のジャーナリズムがとりあえずはアメリカに警戒感を持っていること。(現在のアメリカでは悲しいことに、“ジャーナリズムの自由”が圧力を受けているようで、9.11テロはその傾向をさらに大きく一歩進めさせる要因となってしまったのでした)手っ取り早く様々な視点で世界情勢をとらえるためには、たとえば衛星TVやインターネットで、ヨーロッパ諸国などから発信されるニュースを見てみるのもひとつだと思います。私もスペインやイギリスのテレビニュースは時々見ますが、日本のニュースではまったく知らされない出来事も多く、驚かされることが多々あります。
いま安倍氏が自民党総裁に選出され、彼がこれからの日本をどのように舵取りしていくのか・・・国としてのいき方を選ぶ重要な分かれ目にある今、大きな不安を感じています。そんなときに人々が頼りたくなるのが、カリスマ的なパワーを持った政治家や宗教家。流れが一度ある方向に走り出したら、誰も止めることができないということが、国を問わず歴史上何度もあったわけです。
安倍さんが国際的なバランス感覚のある方であることを、切に望みます。
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