木曜日, 12月 07, 2006

天からの響き・マンドリン

昨夜は、マンドリン奏者・遠藤隆己さんのコンサートへ。遠藤さんは今年、偶然私の演奏会(グラシアサロンコンサート)にいらしてくださり、実はお互い同じ敷地内に住んでいるということがわかってとても驚いた、というおもしろい出会いをした方です。その後聴かせていただいたCD(3枚出されています)がとても素晴らしく、ぜひ生の演奏も聴きたい!と思っていたので、とても楽しみに伺いました。久しぶりのルーテル市ヶ谷、オルガンもあるステージには、大きいけれどシックなクリスマスツリーがあり、演奏会前の素敵な雰囲気をつくっていました。

さて、私はマンドリンソロの演奏に接するのは初めてだったのですが、とても楽しませていただきました。チェチェーレ、ヴィヴァルディとイタリアバロック期の聴き応えある作品が続いたあとに演奏された、C.ムニエルという作曲家の「マンドリンのための狂想的練習曲」(op.17。この日は12曲中6曲を演奏)は、特に新鮮でした。遠藤さんによると、日本であまり弾かれる機会はないけれど、ピアノならショパンのエチュードやリストの超絶技巧、ヴァイオリンならパガニーニのカプリスのような位置にある重要な曲だそう。確かに、超絶技巧が高度な音楽表現につながっていて、マンドリンソロ曲としての存在感を強く残すものでした。シベリウスの3つの小品op.81も、小品ながら説得力がありとても印象的。
後半のプログラムはスペインもの中心で、まずピアノの井出さんがモンポウを演奏、そのあとまたデュオとなり、メキシコ、スペインの親しみやすい曲が続きました。アンコールでのモンポウ「あなたのうえにはただ花ばかり」は心に響きました・・・美しくせつない、私も好きな歌曲です。(作曲家プーランクはこの曲を初めて聴いたとき、感動のあまり3回続けて演奏を求めたそうです。)

マンドリンの音がこんなに美しくて、表現の幅もあるということに驚き、私のなかの形のない「音楽の宝箱」にまたひとつ新しい響きが加わった、幸せな夜となりました。

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