金曜日, 10月 20, 2006

我々はどこへ行くのか


17日、「川良浩和さんのご本出版をお祝いする会」にうかがいました(会場:アニヴェルセル表参道)。本のタイトルは、「我々はどこへ行くのか」<径書房>、常に世界と向き合い、不可能とも思える企画を次々とたて、見る人に「押し付けず、考えさせる」素晴らしい番組を作り続けていた川良さんが、その激しい仕事のかたわら11年がかりで完成させた、言葉では言い表せないほど素晴らしい本です。皆さん、なにはともあれぜひ読んでください!径書房
川良さんはドキュメンタリストというご職業柄もあるのでしょうが、実に様々なことにご興味をもたれ、そしてひとたびご興味を覚えたら広く、深くその世界に入っていかれる方。音楽・美術など芸術全般にも鋭く確かな感性をお持ちで、私はNHKスペシャル番組で弾いていたピアノが縁でお知り合いにならせていただいたのですが、日本文化もとても愛しておられ、私もいろいろ勉強させていただきました。そういうわけでこの日はぜひ、お祝いと感謝の気持ちを込めて着物で伺おう!と思い、このような姿に。

会の途中でのミニコンサートでは、川良さんとは長いおつき合いのデュオ「ダ・カーポ」、そのお2人のお嬢様でフルーティストの榊原麻理子さん、そして私が、ご本人のリクエスト曲を演奏をすることになっていて、まずはリハーサル。私は麻理子さんの伴奏と、本の中でもちょっと触れてくださっている、アルベニス作曲のピアノ曲「コルドバ」演奏です(もちろん、着物で)。コルドバは、かつて長くイスラム王国が栄えたスペインはアンダルシア地方の古都で、イスラム支配下でも、キリスト教徒やユダヤ教徒を厳しく差別することなく認め合って共存し、学問や文化も大いに花開いていました。その都の名前を冠したこの曲では、音楽のなかにその素敵な調和を感じるのです。20世紀末、冷戦構造が消滅したあとに来る世界として予見された「イスラム教vsキリスト教」の構図が、ますますはっきりした形となってきてしまった今において、私はこの「コルドバ」を演奏するたび、違いを認め合える世界、平和への祈りをこめています。そして、それに共感してくださった川良さんにとっても、お気に入りの1曲となられたようです。

開会すると、ジャーナリスト・山室英男さん、写真家・白川義員さん、俳優・石坂浩二さん、元アナウンサー・小林和男さん、弁護士・岡村勲さん、クリスタルアーツ代表・佐野光徳さんなどなど、私も大尊敬させていただいている素晴らしい方々が実に素敵なスピーチをなさり、とても幸せな気持ちにさせていただいた会でした。多くの方々が口にされていた、「自分はいま、なにをすべきか」という命題を、私もまた穏やかな気持ちで胸に思うことができました。人の一生は、宇宙の営みにくらべたらほんの一瞬です。ささやかでもいいから懸命に生き、世界をつなげ次の世代に渡していきたいものです。「人間、驕るべからず」・・・
(中:川良さん、右:会場のオーナーAOKIホールディングスの副社長・青木氏)

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