火曜日, 10月 30, 2007

作家って

昨日の移動のお供は、平野啓一郎さんの「高瀬川」。表題作ほか「清水」「追憶」「氷塊」を収録、久しぶりに触れる美しい日本語、文体。脳に沁み込ませながら・・・が心地よい。
その勢いで今日は同じ平野さんの「葬送」を持ち歩き(ハードカバーだから重い)、歩く時以外は猛然と頁をめくる。ショパン、サンド、ドラクロワなど芸術家たちを軸に19世紀パリを描く超大作。自分もこの時代のパリの街を、それだけではない、まるでショパンを、ドラクロワを生きているかのような感覚にさせる描写。うひゃー。すごいぞ。
今頃何をいっとんじゃ、と言われるかもしれませんが、だってこの方が「日蝕」で鮮烈デビューを飾った年から4年間、私はほとんど日本にいなかったのですもん。「私小説は基本的に自慢話だから嫌っている」そうで、それ大きくうなづける。本当の作家は、“創りだす”ことにしか興味がないはず。私小説は、誰にでも書けるといえば書ける。暴言ですか?
しかし自慢話でも不幸話でも、多くの人には他人の人生を知りたい(=自分のと比較する)という願望がありますからねぇ。「ブログ」だって、“自慢話したい願望”と“覗き願望”が見事に合致しているんじゃ?・・・自虐的ねー。でも、日常になりつつあることにとりあえず流されつつも、ときどき立ち止まって考えるのも必要かなと。

日曜日, 10月 28, 2007

秋晴れ、女友達と都心の裏道を歩く

午後、久しぶりにJちゃんと中目黒でランチ。前回会ったときインテリアデザイナーだった彼女はキャリアを変えて、今は建築士となり某大会社の国際建築部に身をおいていました。はっきりしたビジョンを持って、自分の人生を設計している彼女はすごいと思いました。かといって、まったくキャリアウーマンぶったところはなく、どちらかというと自由な放浪人のような(怒るかな)空気をかもし出していて・・・そういった意味では私とちょっと“匂い”が同種なのかも。

小学生低学年のころ、フランコ独裁末期のスペイン・カタルーニャに住んでいたJちゃんは(クォーターなのです)、教会の地下でひそかに、当時禁じられていたカタラン(カタルーニャ語)を大人たちに教えてもらったり、カタルーニャの民族舞踊「サルダーナ」を一緒に踊ったりしていたのをよく覚えているそうで、私もそのリアルな体験話は今日初めて聞いて、とても興味深かったです。本当にたまにしか会わないのに、とてもウマが合って理解しあえるお友達なのですが、今回会う前も、なぜか私のことが気になり会って話さないといけない、という気持ちになっていたそうで・・・なんか巫女みたい。

中目黒から渋谷まで歩きながら、いろんな話ができてよかったと思いました。ありがとう!

土曜日, 10月 27, 2007

傘女東京をゆく

今日は台風、も関係なく朝から予定ぎっしり。 こういう日は、道中に人が少なくて移動も楽。傘は曲がったけど。濡れなくて済むから愛用してた男性用傘が~ (;_;)

夕方、30分時間が空いたので、荻窪南口にほど近い穴場カフェへ。一見、奥にカフェエスペースがあるとは思えないほど間口の狭いこのお店、気に入っていて時々立ち寄ります。店内には私だけ、今日はこの席で
6時から、かん芸館での「グローブ文芸朗読会」をきかせていただく。先日の赤坂でのショパンライブにいらしてくださった俳優・蔀英治さんと、同じく俳優で朗読家としての活動も多い円道一弥さんはチャールズ・ディケンズの「ドクター・マリーゴールド」を、シェイクスピア劇全作出演という経歴を持つ佐藤昇さんは「傘男」(藤本義一作)を、そして転形劇場を経て劇団U・フィールドで活躍の北村青子さんが、堤玲子作の「わが闘争」より第一章の抜粋を朗読されました。それぞれに個性味のある朗読で、世界にひきこまれて楽しませていただきました。<音楽と物語>をテーマにしているグラシアサロンコンサートシリーズⅡの、第2回公演のアイディアを固めていくのにも勉強になりました。打ち上げ飲み会には残らずに失礼したので、皆さまとゆっくりお話ができなくて残念。

帰宅して、夜中までピアノに向かい・・・しかしやはり影響を受けやすい私のこと、やおら本棚の奥から高校生時代にボロボロになるまで読み込んだ演劇の台本を引っ張り出してきて、登場人物全ての台詞を声音を変えて読んでいく「ひとり本読み」を始めてしまった。大声出しても防音室だから平気。あぁ10代のころ、よくこんなことをよっぴいてやっていたよ。で、今やってみても、変わらず楽しいのであった!

さて、次回のグラシアサロンコンサートは何を取り上げようかな。どこかの回でボルヘスとロルカはやりたいのですが(そうなるとピアソラとファリャは必須ですね)、冬でも合うだろうか?・・・企画たててる段階が一番大変だけど、楽しい過程です。

金曜日, 10月 26, 2007

言葉と、沈黙と

あまりに重要なことを生きているときは、ブログも書けなくなるんですね。武士は黙って、、、
黙ってるな、と昨日怒られたような気もするけど。やはり黙っているのが美学と思えることもあるのだ。

さて昨日の朝日カルチャーセンター初公開講座は、どちらかというとレクチャーに比重がかかったものとなりました。今回のテーマでは1日中でも話せると思うので、いずれ、シリーズとしてより充実させた内容のものができたらと思っています。こういうことをやってみると、私ってほんとお話するのが好きなんだなと思います。

明日はまた浅草、ランチは川松の若女将と、2日のコンサート会場の「大黒家」さんにて。

水曜日, 10月 24, 2007

さむらい

今年という年は、ずいぶん心を使っている気がします。
かなり日本的な心をです。
きついときもありますが、そのたび、武士道に生きよ、と律しています。

生きるってなんだろう。と、スペインではまったく考えなかったことを、しみじみ思ったりするのだけど、そのとき伴っているのは10代の頃に感じていたような“漠然とした不安”ではなくて、覚悟と侘び寂びと感謝とが溶けあったようななにか。

そしてときどき、生きるってこういうことかな。と思ったり。

もの思うのは、きっと秋のせいです。そして自分の。

日曜日, 10月 21, 2007

朝日カルチャーセンター

今週の水曜日24日は、「朝日カルチャーセンター」新宿教室の公開講座に初登場。題して「下山静香と探る、スペイン音楽の魅力」19時スタートです。公開レッスン?!それなら自分は弾けないから無理、と思われた方がいらっしゃいましたが、レクチャーコンサートですのでお席にてお聴きいただけます。場所は新宿住友ビル内の7F、ご興味ありましたら朝日カルチャーセンターにアクセスしてください*私の講座の情報が載っているページはこちら。(日程が漆原朝子さんと青柳晋くんにはさまれてます!)申し込むには「受講お申し込み」をクリックです。いつもやっているトークコンサートのときとはまた違った私がいるかもしれません。

金曜日, 10月 19, 2007

日ハムおめでとう!

日ハム、パを制す!!お父さん喜びをかみしめていることでしょう。2年続けてこの喜びを味わえるとは、よかったねぇ。(なぜ私の父が日ハムファンなのかは、1年前のブログ参照)まだ日本シリーズあるけど。新庄が去り、小笠原をとられても、ダルビッシュというスターがいたのだね。成長しましたよね彼!最近、やっと野球もおもしろいなと思えるようになってきました・・・日本シリーズも盛り上がるといいですね。

木曜日, 10月 18, 2007

くせになる下町

ベッドから身体をはがすように起きてキッチンに直行、今朝はしっかり朝食。ごはん、お味噌汁、焼き魚、お野菜、きのこに卵・・・とお皿を並べた朝食なんて、いつぶりに作ったか。だって今日水曜は、お昼ご飯は食べられない日ですもん。このチャージのおかげで、ほどなくしゃっきり目覚めました。

ぎりぎりまでパソコン仕事をし、芸大音環に出講。そのあと浅草へ向かい、11月2日にコンサートを予定している会場「大黒家」さん別館にて打ち合わせ。時間を調整するため、久しぶりにぶらぶらと界隈を歩いてみたのですが・・・非常ににぎわっていて、以前より活気があるような気がしました。テレビドラマも、浅草が舞台のものがすごく多いですよね。映画に本・・・と芸者さんの世界もいい波がきているし(浅草と向島は「東京六花街」に数えられます)、いま、時代は下町じゃないですか?!<下町クラシック!>と題した今回のコンサートも、すでにシリーズ化の予感。わくわくしてきました*
大黒家さんのあとは、これまた老舗「川松」の若女将と、お茶しながらしばしのおしゃべり。実はあさっても、浅草にて別件打ち合わせなのだ。今度は味噌とんかつと。・・・いや、とんかつと打ち合わせするわけじゃなかった。

日が暮れ始めたころ浅草をあとにし、次の打ち合わせへ。
10時半帰宅し、夜中までピアノに向かったあと、昨夜は断念したチラシデザインを無事完成させました。ナンダカンダ言って、こういうことするのも好きだから困っちゃう。

水曜日, 10月 17, 2007

小雨の中、番町へ

寒い!寒い!いまだ衣替えをしていないため、とりあえず、バルセロナで購入したお気に入り革のジャケットを着て外出。
今日は自宅でおとなしく練習&仕事のはずでしたが・・・午後一でO氏から呼び出しがかかり、オープンしたばかりの「セルバンテス文化センター」で行われるソプラノリサイタルに伺うことに。

このInstituto Cervantesは、1991年にスペインで創設された、スペイン語教育や文化の普及に努める世界最大の国際組織。その支部センターが、とうとう日本にもできたわけです。なんといっても、スペイン語は世界20カ国以上、4億人もの人々に話されている重要な言語。そしてこのセンターの名前にも採られているセルバンテスの「ドン・キホーテ」は、400年以上前に出版された“最初の近代小説”といえる重要な作品で、世界で聖書の次に出版されているというまさにロング・ベストセラーなのであります。しかしこの本、まともに読破するのはかなり根気が・・・。
ところで彼の格言に「音楽のあるところには真の悪は存在できない。」というのがあります。

脱線しましたが、今夜のコンサートの主役はスペイン人歌手シルビア・シュヴァルツさん。Guridiの歌曲がよかったです。休憩なしで1時間ほどで終了、すぐさま帰宅してプロコフィエフの譜読み開始。
本当は明日午前中までに、11月2日に予定されている<下町クラシック>コンサートのリーフレット素案をつくらなければいけないのですが、もう限界。今日はこのへんでパソコンの前から失礼します・・・

日曜日, 10月 14, 2007

夢判断されたらこわいなぁ

昨夜は、豪華3本立てで夢見。全てリアルモードで頭がさえまくっている感覚、夢だとは思えず全然寝た感じがしませんでした。
最初は、就寝前に突然の訃報を聞いた黒川紀章さん(ご冥福を心よりお祈りいたします・・・)に関連した夢、2本目は演劇の本番舞台、私の出番は刻一刻とせまっているのに台詞がまったく入っていない状態で、舞台袖でスタンバイしながら台本をにわか覚えしようと焦りまくっているという夢。3本目は、都会の夜、人形がどんどん空から降ってくるのを眺めていたら、そのうち落ちてくる人形はサイズが小さくなって・・・私の身体にぱらぱらとあたっていくというシュールなもの。シュールというより気持ち悪かったぞ。おかげで、フラメンコクラス、ネットカフェでの事務作業と一連の用事を終えて帰りのバスの中で熟睡。。。。

金曜日, 10月 12, 2007

ショパンライブ終了

あら!気づいたら久しぶりの投稿となってしまいました・・・
昨日は赤坂でのオールショパン・ライブ。プログラムは、ワルツ6曲、ノクターンop.9-1、ノクターン遺作、雨だれのプレリュード、革命、エオリアンハープ、別れのエチュード、幻想即興曲、英雄ポロネーズ、マズルカ2曲・・・と、ホールでの演奏会ではまずやることのない、怒涛の名曲ラインナップ。前日にはご予約が定員オーバーしましたが、最終的には補助椅子で皆さまに座って聴いていただくことができました。私のコンサート常連のお客さま、そして初めて聴きにきてくださった皆さま、本当にありがとうございました!会場のカーサクラシカさんから、年内にもう一度ライブをしていただけませんか!という嬉しいご提案をいただき、ただ今調整中です。決定次第、またお知らせします*

今日は気温も上がり、昨夜の湿気も消えて秋の空。
北に旅して、一足先につんと涼しい空気を味わいたくなりました。

日曜日, 10月 07, 2007

文化はあとに回され、先に切られる

昨夜はオーチャードホールで、スペイン国立バレエ団公演鑑賞。
高校・大学時代は生活をきりつめてでも、ダンスや演劇もよく観にいきました。ガデスもバウシュもベジャールも、シェイクスピアシアターもコメディフランセーズも・・・。ほんとに胸躍らせて、釘づけになって観てたものです。「学生券」のありがたさをつくづく感じる今日この頃。。。芸術科の学生たちよ、自分たちで創作することに夢中なのはわかるが、バイトに忙しいのもいいが、学生のうちにいいものをたくさん観てくれ~!と叫びたくなります。学生時代も終わりスペイン生活も切り上げて帰ってきたら・・・ほんと今はなかなか自分の行きたいものに行けなくなってしまった。チケット高すぎて!!
音楽業界でいえば、興行諸費用、ギャランティ、レッスン代その他において、日本人が世界の相場値段をつりあげていったのだ、というのは誰でも知ってる話。バブル終わってももうその前には戻せない、海外アーティストはとにかくどんどん東京に来て稼ごうとするし、政府も文化支援の余裕はなくてマネージメントは入場料でなんとかしようとする。結果、観客の入りに苦労する・・・という悪循環。もちろんものすごく話題になれば超満員御礼となるのだけれど、たとえば昨日のスペイン国立にしても、ホールの半分以上がガラガラに空いてるという驚きの状態でした。
なんか考えてしまったなぁ。ニッポンブンカコッカの先行きを。

金曜日, 10月 05, 2007

行きつけはもっと近場にほしいもの

今日は一気に書類のプリント作業を片づけようと、いいレーザープリンターがある行きつけのネットカフェに出かけました。しかし!4分の1ほどの部数まできたところで、頼みのプリンターがまさかの故障。後日出直すことになりました。あぁ往復2時間半の時間を返して・・・。エラーが出た後、私がプリンターの前で待っていたのはものの5分ほどだったと思うのですが、迷惑をかけたということで30分分の料金を割引してくださった店長さん。良心的だ荻窪WIP!早く直してくださいね*

家へのバスを待っていて空を見たら、左のほうから美味しそうなおさかなが~。今日の朝ごはんは羊羹一切れ・・・1時近くなりふらふらし始めていた私には、いわしかししゃもにしかみえませんでした(>_<)

すごいぞ日本酒

Oクラブ・今日のパーテイーは、藤井酒造(広島県竹原市)の取締役副社長・藤井氏をゲストにお迎えしての日本酒試飲会でした。日本酒についてのとても興味深いお話をうかがったあと、「龍勢」など最高級日本酒を5種飲み比べました。
響いたのは、「ほんものは、へこたれない」という藤井氏のお言葉。今は遺伝子組み換えなど技術が発達したため、たとえば香りをたたせたい酒をつくろうと思えば、簡単につくれてしまうそう。でも藤井氏いわく・・・そんなお酒は何日かたてば、なんとも無残な香りしか残らないといいます。本当にいいお酒は、やはり丁寧に、誠実に、ほんもので創っていくもの。そうでなければ創れないのです。ごまかしはきかない。何事にも通じる真理なのではないでしょうか。
栓を開けても味が落ちない、また燗冷めして美味しいお酒もあるとか、ワインのように何年も寝かせてうまくなるお酒もあるとか、日本酒は器や温度で幾通りにも味が変化するとか、面白いお話が次々と。

今日いただいたお酒のひとつ「龍勢」は、政府の方針のせいで日本酒の質が落ちてしまった戦後の時代、生粋の純米酒(純米酒といったらそもそも生粋なのですが)であることを守るために、藤井さんのおじいさまにあたる方が発売中止という決断をし、そのおかげで、歴史ある貴重なほんものの味を守ることができたそうです(藤井酒造さんは1863年創業)。
いただいてみて、こんな世界なんだ日本酒って!と目からうろこの感覚。白ワインのように色づいているものもあり、ワイングラスに入れると見分けがつかないほど。巷には脱色して無色になってるお酒もあるというからびっくりです。とにかく、ほとんど何も食べずに、お酒だけなかなかのピッチでいただいたのに、まったく酔いが残らなかったのです。。。。一緒にいただく料理とともに素晴らしくたちあがり、そのあとすっときれて、また次のお料理を楽しめるようなお酒がお好みという藤井さん。私もそういうのが好きです!もう、いいお酒しか飲めないわ~!

ちなみにこの「龍勢 黒ラベル」2年ものは、今年の<IWCインターナショナルワインコレクション>で金賞+最優秀トロフィーに輝いた、世界が認めたお酒です。

水曜日, 10月 03, 2007

秋の朝 こんな会話で 金使う

小さくて白いおいもをもらった翌日 母とのCメール会話

母「おはよう 名前思い出しました きながつきです」
?? 一瞬なんのことかわからず。
15分後
母「間違えました(>_<) きぬつきです 鍋で少し温めて口にスルです」
語源はなんなんだろう?と考えながら・・・確か・・・
私「きぬかきっていうんじゃなかった?」
10分後
母「きぬかつ(T0T)  なんだかわからなくなってしまった」
私も混乱してきて、もはや脳裏には絹の反物をかついだ妖怪の姿が浮かんでいる。
私「ははは!『きぬかき』だよー」
5分後
母「づ、だと言いづらくない?」(負け惜しみ・・・)

月曜日, 10月 01, 2007

初ハイビジョン収録

小雨降るなか電車を乗り継ぎ、橋本へ。NHK-BShi「ぴあのピア」のための収録です。曲ごとに衣裳替えに楽屋に走り、ついでにチョコを口に入れてまたステージに走り戻る、を繰り返しました。4曲を演奏し、3時ごろ終了。私の出演分の放送は11月初旬です。再放送はBS2でもあり、またOCNのネット会員はネットでも観られるそうです*

21日のモーツァルトコンサートにご来場のMさんが、日刊ブログ新聞「ぶらっと」に記事を書いてくださいました。鍵盤楽器弾きくらべは、さらに進化させていきたいと思います。クラヴィコードの調律もマスターしなければ。

次回コンサート本番は11日、赤坂の「カーサクラシカ」にて<ショパンづくしライブ>です。・・・かなうならそのまえに温泉に行きたいなぁ、どこでもドアがほしいなぁ。