火曜日, 5月 30, 2006

魂をひらく・即興ライヴ

霧雨が降る土曜日の夜7時過ぎ、向かったのは<深町純ピアノパーティー>。深町さんは天才的な即興ピアニスト、噂には聞いていたのですが、あまりくわしいことは知らずに(すみません)会場のアートカフェへ。かなりひどい方向音痴の私はちょっと迷いながらも探しあて、お店に入ると・・・すぐそこに深町さんご本人。いきなりお話ができるとは予想していなかったのでびっくりしながら、ご挨拶。
カウンターでワインを頼み、深町ライヴに集う常連さんたちとおしゃべりなどしているうち、深町さんふとピアノの前に座り、演奏が始まりました。雨が降っているせいか、初めはピアノと静かに対話をするように、そのうち徐々に熱が入り、演奏も白熱していきました。

ライヴというものは体験するしかないので言葉では多く語れない、語りたくないといったところが本音ですが・・・胸に響く演奏のあいだには、うむっとうなづいてしまうお話、お客さんも本当に楽しんでいる様子。
少しして、初めて来た人に“即興”をわかりやすくするということもあって、お客さんに、思いついた短いメロディをハミングしてもらい、それをモチーフにして彼が即興演奏を繰り広げる、いわゆるお題拝借コーナーとなりました。これがまたおもしろい。開演前に、私がクラシックのピアニストだということがバレてしまっていたので、やはり指名が来てしまい、「いやいやそんな~」とか言っていたら「嫌がってるのにやらせちゃだめ」って深町さん。いやいや嫌がっているわけじゃないのだ、ここは典型的な(と、世間一般に思われている)クラシックピアニスト像を示してる場合じゃないぞ。
というわけで、お2人がお題を出したあと、ピアノで弾いてくれてもいいよ、というので私もついに起立。「すごくヘンなのを出そうと思って」と言ったら、「あんた鬼のような人だね!」(笑)結局ひねくれるのはやめにして、4つほどの音をつなげて弾いたモチーフから、とても素敵な音楽を奏でてくださいました。感動!

そして彼は、シンセサイザーを日本で初めて演奏した人だそうです。この日、それを久しぶりに演奏してくれるということになり、私も興味津々。70年代(だったかな)の、肩にかける大きいラジカセのような形のシンセサイザー(YAMAHA製)、はじめて見ました。息を吹くとそれが電圧として伝わり、音が出るものだそうで、「これを僕よりうまく弾ける人は、きっと、いない」とのこと。フォーレの「夢のあとに」と、三島由紀夫のあの「黒蜥蜴」のためにつくった「カタストロフィ」(女性はカタストロフィだ!ということのようです)という曲を演奏されました。すごい・・・微妙にブルーで、やるせなくなる音。これまた心を動かされました。

後半では、飛び入りパーカッションとの熱い即興共演あり、そして私まで、出て行って演奏しちゃいました(ちなみにこのとき赤ワイン2杯近く飲んでおりました)。素敵だったのが、その直後に私の弾いた曲のテーマを使って繰り広げてくれた、素晴らしいインプロ!これには皆さん、大、大盛り上がりでした。

なんとも心地よい興奮状態のまま、お別れして外へ。いまだ雨はやまず・・・しかしハイテンションのせいか、ほとんど足は浮いてました。体重が軽くなったかと。いやそれはないか。
この日の顛末は、吉岡正晴さんの<ソウルサーチンブログ>5月28日のところにも記されています。私のせんくらブログ最終日(6月3日)にも、この日のことを書く予定ですので読んでくださいね*
<写真:三田典玄さん撮影。右が深町純さん、左はライヴに誘ってくれたKellyさん。>

0 件のコメント: