日曜日, 5月 06, 2007

川端文学をもう一度

気晴らしに、NHK映像ファイル<あの人に会いたい>~川端康成~を見た。
彼の作品は、中・高時代私の胸を騒がせるものがあってよく読んだ。昨今の小説ではお目にかかれない(時すでに“平成”なのだ・・)エロティシズムや、はっきりとは表れない、しかし確実に読み取れる男の矛盾、残酷さに、“女として”目が文字を追うのを止められないのだった。
あのころは、太宰や三島を女々しいと感じてしまっていたな。それにしても三島由紀夫の「豊饒の海」はほんとうに美しい。私が日本語の美しさに目覚め、夢中で読んだ作品のひとつだ。

ノーベル賞受賞直後の対談で、三島さんが「先生の芸術には“力を入れないで力を入れる”という、無構えの境地が感じられる」というようなことを言っていた。川端さんはそれを受けて「力を入れようとするころにはもう済んじゃってるんでね。怠け者なんですよ・・」とさらり。

三島さんはこの対談の2年後、割腹自殺。「豊饒の海」に最後の一行を書き加えた翌日だったという。
川端さんはそのさらに2年後、ガス自殺を遂げた。

0 件のコメント: